エアコンベルトがキュルキュル
こちらのワゴンR、エンジンをかけるとキュルキュル音がします。
そしてエアコンを作動させるとさらに音が酷くなります。
予想としては、エアコンベルトの張りが緩いか、ベルト自体が劣化して硬くなっているのでしょう。もしかしたらエアコンベルトではなくてファンベルトってこともあるかもしれませんので、そこは実際によく確認してみる必要があります。
他店で断られ…
助手席には新品のファンベルト、エアコンベルトが積んでありました。
…ふむふむ、部品持ち込みですね。(ちょっと珍しい)
当店で車検など整備はされていないお客様ですが、どうやら掛かりつけモータースにベルト交換を断られて…という、どういうことなのでしょうか??
ベルト交換不能のわけ
エアコンベルトを外すときに異変に気付きました。
コンプレッサーの軸にあたる下側2本M8ボルトの1本が変なM6ボルト付いています↓
しかもちょっとナナメって…
斜め上をいく発想
ひとつ細いボルトを入れている…
ネジ山を立ててある側のコンプレッサーはアルミボディのため、ネジ山を壊してしまったのかと初めは考えました。
だとすると、ちょっと強引に長めのM8ボルト入れて、反対側をナット固定すれば良いだろうと私は考えました。
しかし一向にM8ボルトは入っていく気配はありません。
ヤバそうな予感がしたので、本腰を入れてコンプレッサーと向き合うため、すぐにフロントバンパーを外しました。
肝心なコンプレッサーの下側の穴の状況は写真撮り忘れました(^_^;)
状況としては、M8ボルトは折れていました。
折れたボルトの除去のためにドリルで揉もうとしたようですが、ボルトの芯を外して半分ボルト半分ボディを揉んでいます😱
1発ではなくズブズブに…
しかもナナメって…
これがM6ボルトがナナメって入っていた原因でした(T_T)
コンプレッサーの下側の軸となる2本のボルトの芯が通っていないので、コンプレッサーは曲がって取り付くこととなり、斜めプーリーでは当然ベルト鳴きが出てしまいます。
この状況で今まで乗ってきたことを考えると恐ろしくなります。
途中でベルト鳴きを改善しようとしたのでしょうか、ファンベルトはペンペンに張られた感じがします。
なんというか、ベルトの劣化がそうでもないのにリブが飛んでいて、ベルトの背中が波打っている状態で…。
そしてエアコンベルトですが、Vベルトなのですがヒビからして劣化はそれほどではないのですが、ベルトが掛かっているプーリーに一直線が出ていなければ、ベルト鳴きは出てしまいます。
折れたボルトの除去作業
やはり凡人の私の発想としては、
半分ほど残っている三日月型っぽいM8ボルトをなんとしてでも除去し、そこにM8ボルトナットで固定して、コンプレッサーの芯がズレないように固定するという、なんとも平凡な考えしか思い浮かびません(/ω\)
平凡でも、これが結構難しいです。
2㎜か3㎜のドリルで三日月の一番太いところをブチ抜き、ボルトの残っている部分を固着しているネジ山から引きはがすという作業です。
必死過ぎてこれまた画像は撮り忘れました(^_^;)
コンプレッサーにM8のネジ山は半分ほど残っていますが、おそらく強度不足である為ボルトナットで挟んで固定します。
このようになりました。
実に平凡ではありますが、この状態でベルト鳴きが起こらないかを確認したらフロントバンパーを取り付けて終了です。
整備は良いか悪いか
今回の途中写真は結構忘れてしまいましたが、この作業をしたモータースさんもありますし載せないくらいでちょうど良かったかもしれません(^_^;)
作業した人は「これくらいでいいべ…」でやったのかもしれませんが、ボルトが付いていただけで、60点でも80点でもなく、0点です。
整備は100点か0点かしかないものです。100点で作業したつもりでも不具合が出れば0点です。実際にそういうことがあるので常にプレッシャーがあります。
ですから「これくらいでいいべ…」の作業が良いはずがありません。
整備の技術力って、ヤバい場面でのトラブル回避能力の高さ・応用力と、絶対にあきらめない執念かと思われます。